もうすぐ、ひな祭りの時期が、やってきますよね~
商店街を歩いていても、唱歌の「うれしいひなまつり」が流れているのが、聞こえてきて、なんだか、華やいだ気持ちに、なってきます。
「もうそんな時期になったんだ」と、感慨深く、感じたりもします。
ひなまつりといえば、おひなさま、ひな人形のことなんですけど、親戚の女の子と話をしたときに、お内裏様とおひな様の並べ方が「お友達の家とちがう!」って、いうんですよ。
「え??それってどういうことなのかなぁ」と思って、せっかくの機会なので、もうすぐおひな祭りということもあって、いろいろと、くわしく調べてみたんですよ。
その内容をふまえて、お内裏様とお雛様、どっちが右で、どっちが左なのかや、そのいわれなども含めて、伝えていこうと思っています。
右か?左か?
おひなさまもお内裏様も、右でも左でも、どちらの位置でも、実は、かまわないんですよ。
雛人形の並べ方は、古式と現代式の2つの方法があって、どちらなのかによって、左右の位置が変わるだけなんです。ならび方は、お内裏様、お雛様、それぞれ、逆になっているんですよ。
両方の並べ方を、それぞれ見ていきましょうね。
お内裏様が「左」おひな様が「右」の場合
ご存知のとおり、お内裏様が左(向かって右)で、お雛様が右(向かって左)で、並べているひな人形のことは「京雛」といわれています。
日本古来からの風習や、古典的な習わしによる、古式の並べ方なんですよ。
ひな人形は、そのころの宮中内裏での、天皇の並び方を模していて、壇上の内裏雛として、なぞらえたものなんです。男雛であるお内裏様は、左にいる天皇陛下、女雛であるお雛様は、右に立っている皇后を、あらわしていたんですよ。
御所における、玉座の位置や宮廷儀礼にならって、ひな人形の位置もかざるのが、当時のならわしだったんです。
では、なんで、京雛は、男雛が「左」、女雛が「右」なんでしょうか?
お内裏様が「左」になっていた理由
京雛で、男雛が「左」、女雛が「右」になった理由や経緯には、次の2つがあるんですけど
- 左上座が中国から入ってきた
- 日本の宮中で定着
です。
それぞれ説明していきますね。
左上座が中国から入ってきた
中国の唐の時代に伝わった「左上右下」という考え方が、この古来からの形式の、伝統になっています。
当時、皇帝は、中国内で、絶対的な存在で、地上最高、揺るぎない存在として、うやまれていました。
北極星は、絶対に位置の変わらない、夜空の星として、中国皇帝と、同一視されていたんです。北極星と同様に「皇帝は、北に背を向けて南を向いて、玉座している」という、たとえに「天子南面」という言葉があります。
太陽も、北極星とおなじで、他に類をみない存在として、あつかわれていいました。
太陽は、ご存知のとおり、東からのぼり、西へ沈みます。南へ向いた皇帝からみると、左手(東)側からのぼり、右手(西)側へしずんでいきます。なので、玉座についた皇帝の、太陽が昇る左手(東)が上位になり、太陽の沈む右手(西)が下位になるんです。
中国の「東側上位」「左上位」の概念が、そのまま日本にもちこまれ、吸収されていきました。
日本でも、天皇が南を向いてたった時、日の出の方角、つまり左手(東)側が、上座になり、日の入りの方角、つまり右手(西)側が、下座になることを、意味しています。
また、現在の京都の地名である「左京区」「右京区」も、このならいから、きているそうです。
日本の宮中で定着
かつて中国から伝えられた「左上右下」の考え方が、根付いて浸透していったことで、日本の礼法や思想に、大きく影響を及ぼしているところもあるんですよ。
日本に定着して以降は、宮廷の祭事などには、左が上位、右が下位の意味を、しめすようになっていきました。左大臣のほうが位が上で、右大臣のほうが下ですよね。
ひな人形でも、高齢でひげをはやした、年配者のほうが、位が上の左大臣で、左上座に、飾りつけをしますよね。若者の人形の方を、右大臣として、右に、飾りつけをします。
なので、一番上位である天皇を模している、男雛が左(向かって右)に飾られたんです。男上位の慣わしなどもあり、サポートする立場として、女雛が右(向かって左)に置かれたようです。
ちなみに…
昭和のはじめごろは、どこの家庭でも、この並び方が当たり前で、当然のように、お内裏様を左に並べていました。
御所の紫宸殿があった京都や機内や、その周辺の他府県などでは、今でも、京雛が飾られてます。
文化や慣わしを大事にしていて、伝統を重んじている家庭や地域でも、同様に昔から、京雛を飾っているところもあるんですよ。
地域差や文化などで地方によって、どちらの並べ方をするか、違うこともあります。
また、礼儀作法やマナーでも江戸時代までは、日本は、左上座だったんですよ 。
お内裏様が「右」おひな様が「左」の場合
お内裏様とよばれる、男雛が右(向かって左)、お雛様といわれている女雛が左(向かって右)に、飾られる場合は「関東雛」とよばれています。
現代式で、明治維新の時代、天皇が皇居へと移行された後の、並び方を、再現した物なんですよ。
文明開化とよばれ、近代化の波に乗り、制度や習慣が大きく変わり、あらゆるものが西洋化されてきました。その変化の中で、皇室儀礼なども、変化していったんです。
昭和天皇の即位式で、西洋の形式にならって、天皇とおそろいになって、皇后が天皇の左に、お立ちになられたんです。
ひな人形も、即位式以降、この事に準じて、ならび方を内裏雛にも、反映するようになったんですよ。いまでは、現代式である「関東雛」のほうが、全国的に、より一般的になっています。
では、どうして関東雛では、お内裏様が「右」に、お雛様が「左」に飾られるようになったか、みていきましょうね。
お内裏様が「右」になっていった理由
関東雛のひな人形で、男雛が「右」女雛が「左」になった理由や経過には、次の2つのことがあるんですよ。
- 右上座が西洋から入ってきた
- 人形メーカーの宣伝
追って、説明していきますね。
西洋の「右上座」の作法が入ってきた
明治の文明開化以後、都が、江戸から東京へと呼び名が変わり、日本も欧米の文化にならい、だんだん西洋式のものを取り入れていくようになっていきます。
宮中も諸外国の一員として、格式を整えはじめだします、
大正天皇の即位式以降、「天皇が右側にたつ」ということが、新しいしきたりになっていくんです。西洋の礼儀に倣って、洋装でおこなったそうです。
天皇即位の礼では、国際化にともなって、欧米の儀礼にしたがって、国際儀礼へと移行し、外国の王室の形式を模して、天皇は右側に、皇后は左側に立たれたんだそうです。
以降、欧米諸国での「右上座」のマナーが、皇室の伝統となっていきます。
現在の皇室でも、男性である天皇が「右」で、女性である皇后が「左」に立つことになっています。
これに似せて、おひなさまのお人形も、男雛は右(向かって左)に、女雛は左(向かって右)に置かれるようになったんです。
人形メーカーの宣伝
昭和天皇御即位の際、写真が報道されたんですけど、天皇陛下は「右」側に並ばれて、皇后陛下は「左」側に、お立ちになっていたんですよ。
それを見た、ひな人形の小売店は、男雛を右に飾るように、女雛を左に置くように、店頭のディスプレイをかえたんだそうです。
当時のひな人形をつくるメーカーも、飾り方を説明して、詳しく書いてあるリーフを同封して、ならべ方を小売店に指導したんです。
男雛を「右」で、女雛を「左」と決めたのは、東京のひな人形界が、発祥だとされています。
余談ですが…
「右上座」の語源?
西洋の言葉で右をしめす「right」は、「正しい」とか「権利」を意味しますよね。
それにひきかえ、左をあらわす「left」は、「価値の無い」とか「よわい」ということばが、語源となっているんですよ。
言葉の意味からも、右が、優位になっているんですね。
新郎新婦のならびかたも…
結婚式や披露宴のならび方も、新郎が右側で、新婦が左側ですよね。
それぞれの位置も、これに由来しているんですよ。
で、実際の「関東雛」と「京雛」で、具体的な特徴の違いってあるのかなぁって、疑問におもったりしませんですか?
関東雛と京雛の特徴的な違い
ひな人形の
- 京雛
- 関東雛
などで、顔立ちなど、それぞれ具体的に、特徴がちがっていたりするんですよ。
京雛の特徴
「京雛」の顔の特徴の1つとして、まず、目が切れ長で、細いまゆをしています。鼻筋が通っていて、細面で、いわゆる京美人的な顔立ちをしています。
とても魅力ある、大人っぽい女性に感じます。
高貴な様子で、公家顔といわれる、目鼻立ちをしています。
京人形に多い「京顔」だともいわれています。
関東雛の特徴
「関東雛」の特徴として、目は大きめで、口元は、かすかにほころんでいて、優しくふんわりとした表情をしています。
目鼻の整った現代風の美人顔で、ふっくらとした、かわらしい顔立ちをしています。
現代人に近い、今風の顔で、とても人気のある端正な顔立ちなので、親近感がもてます。
現代式である「関東雛」は、東京周辺から徐々にひろまり、全国に拡大して、一般的になっていったといわれています。
実際、手にとって、実物を目にして見てみると、ひな人形ごとに特徴があって、全部、個別にはちがっているんですよ。
顔立ちなどを比べてみても、わかりづらく、判断ができるぐらい明確な特徴がないように感じます。
一体一体全部違うので、厳密には区別しにくいし、判断しにくいかもしれません。
顔立ちから識別するのは、少しむずかしいかもです。
おひなさまとお内裏さま、「右の場合」と「左の場合」があるんですけど、並べ方は、別にどっちでもかまわないんですよ。
高齢者の多いご家族で、古来からの形式がいいって場合は、古式のならべ方をして、若い人が多い家族なら、現代式でならべるというのも、ありだとおもいます。
毎年の恒例行事ながら、人形を組み立てていくのって、樂しいですよね。
もうそんな時期がやってきたんだなと、感慨にふけりながらも、みんなで雑談しながら、わいわいいっしょに作業していくのは、おもしろいです。
娘さんたちも巻き込んで、いっしょに設置して、楽しんじゃいましょうね。
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